極端な痩せ体型である私のmon Sakataパンツは、実はメンズ仕立てが多い。
180㎝もあろうか高身長の男性陣と同じパンツをキュッとベルトを締め履く
のである。シャツも然り。袖をくしゃくしゃに捲り、泳ぐように着るのが好
きだ。愛用者の年齢もステップを踏むように飛び越えていき、母子ならず今
では三世代でのファンも多い。

mon Sakataの服に、私はいつも裏切られる。忍ばせた釦の仕組み、不意に
現れるポケット、長く広がる袖口、全く異なる個性を持った者達が、同じ服
にそれぞれの個性を際立たせていく不思議。体型、年齢、性別、そんなもの
をずっと超えて存在している。

手を動かすこと、愉しむこと。手は思い掛けない形を産み、愉しむ心は愉し
みたい心へと届く。世代を超えた人々が、今また新たにmon Sakataに注目
しているのは、デザイナー坂田敏子が今もそのことを慈しんでいるから。

この甘い裏切りを見つけたくて、この春もきっと私はmon Sakataの服に身
体を委ねてみるのだろう。

閉廊　火曜 4月9日(水)24日(水)