寛白窯 岸野寛 陶展
2025.5.10 (sat) – 5.26 (mon)

縁の模様は食材への集中要素なのです、岸野はそう話す。
届いた織部の輪花向付は、花が光に向かい咲くように、
ふわりと開いている。料理は花弁に包まれ、食す私たち
は花芯を覗き込むような面持ちに。何か大切なものを視
るための模様なのかも知れない。
展覧会の度に見聞きする岸野の三年の間の変容は、いつ
も興味深いものだ。手製の薪窯が更に増えていたり、白
釉にきらきらと結晶が生まれていたり、いつも産み出し
たい表情が様々に在り、試験を繰り返し、自身の焼物を
毎展更新していく。
今回の焼物はどこかゆったりと、鷹揚とした佇まいに見
受けられた。尋ねれば、新たな自由を手に入れたという。
自身の窯を築いて21年。焼物の仕事をこの上なく愛し、
日がな一日土に触れてきた青年の、今、眼前に拓けてき
た景色なのだろう。
食すこと、茶を喫むこと、花を手にすること。全ては自
然物に繋がっていく。岸野の焼物は、命あるものと手を
結ぶ、素敵な装置なのではないだろうか。
作家在廊日 5月10日
閉廊日 火曜 7日(水)〜9日(金) 28日(水)
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1975年 水墨画家・岸野忠孝の四男としてうまれる
1994年 京都市銅駝美術工芸高等学校陶芸科卒業
伊賀土楽窯・福森雅武氏に師事
2004年 伊賀市丸柱に築窯
2011年 川喜多賞宝塔製作(以降毎年製作)
2015年 名古屋・松坂屋にて個展(12)東京・瀬津雅陶堂にて個展
以降全国各地にて個展を開催
2022年 日本橋・髙島屋にて個展
2023年 横浜・髙島屋にて兄弟展
2024年 京都思文閣にて個展 梅田阪急にて個展
2007年より夏至にて個展を開催