一年前に開催した秦泉寺由子展にて展示された、深く澄んだ
黒い絹布。天然染料を何色も重ね染め上げたものだが、「最
後に染める藍の良し悪しが黒色の美しさを決めるの」と話し
て下さったことが印象に残っていた。

それ以来、藍が私の心の中に住み続けている。

MAKI TEXTILE STUDIOは、真木千秋による染織スタジオで
ある。
糸や染料などの素材は勿論、工房内の建築素材、染色桶、物
干棒…、あらゆるものが自然素材により構成された、圧倒的
な場。動力も人間の手足によるものだ。
藍染も然り。インド藍、蓼藍、琉球藍…、それらの生葉染や
泥藍染。近年では自ら藍を育て収穫する姿、そんな便りも届
いている。
染められた青色の表情も多様で、薄水色から深藍、また、他
の自然染料と重ねることで、紫や緑青など更に豊かな色の世
界へと導かれていくのだ。

藍染は防虫や消臭効果、解毒や紫外線防止など、多様な効能
を持つ染料として、この日本でも長く愛されてきた。太陽の
下に焼けた肌、指先ごと染め上がる藍の青さ、リズミカルな
織機の音、それらが織り込まれた藍布からは、肌からも力を
戴くという、衣の一面も知ることだろう。

出展｜夏の衣服、手織ストール、小物、着物、古裂　他


今展では、古裂を蒐集する”きものはちす”に協力頂き、日本
の藍染古裂を集めて頂いた。染色の濃淡や型染めによる装飾、
継ぎ接ぎはコラージュのように面白く、生きてきた藍布も共
にご紹介したい。

作家在廊日　7月13日(木)
閉廊日　火曜 7月12日(水)26日(水)