ヒムカシのデザイナー東出から、山畑を買い、アトリエを移す
という便りが届いたのは、いつだっただろうか。そこは大自然
に包まれた大いなる大地。山川に遊び、動物たちと共に過ごし、
衣服の素となる和綿を自ら育てていく。挑戦と体験のレイヤー
を重ね、いずれそれは服作りへと昇華されていくのだろう。


自分のために服を選ぼう！
そんな、東出自身の環境変化の中で届けられた今期のメッセー
ジはとても真っすぐで、素材、形状、機能、それぞれの調和が
とれている服は、シンプルに気持ちがよい。冬の寒さを和らげ
てくれるものから、通年通して気持ちが良い様々なオリジナル
素材。それら素材を感じるパターンは、なるべく布を切らず縫
わず作らないようにと、一枚布を巻きつけるかのように考えら
れていて、うっとりするほど滑らかなカットソーやコートに使
われているウールは、ウォッシャブル加工が施され、服のほう
から生活に寄り添うような意思が込められている。この服に重
ねられたメッセージが皆さまの心を悦ばせ、旧友のように親し
く、佳き相棒となってくれることを願うばかりである。

作家在廊日　10月17日(木)
閉廊日　火曜　10月16日(水) 30日(水)





himukashi / 東出結城
2010年アトリエ兼ショップを構え｢ヒムカシ｣をスタート。
製作は素材の企画から始まり、服飾設計（パターン）の技術
を基本に組み立てる。素材の特徴を引き出す目的から生まれ
る畳んで折っての簡易構造と誰の目にも楽しく映るデザイン
は、まるで折り紙のよう。洋服のみならず眼鏡、靴、靴下、
鞄まで幅広く展開する。
2023年には東京・養沢に山と畑を取得し、綿花と藍の栽培を
始める。