安齊賢太
2025.10.18 (sat) – 10.27 (mon)

初めて安齊の作品を目にした時のことを、今もよく覚えている。
子供の拳骨ほどの小壺は、黒々とした肌を持ち、口元には点描の
ような模様。陶器なのか漆器なのか、はたまた石器なのか。前情
報がなければ、時代も国籍も判明し難い存在であった。それはま
さに漆黒、朔の闇夜のような黒色なのだが、鋭利な印象はなく、
どこか寛容で落ち着きがあり、洒落ていながらも原始の印象を受
けた。あれから十数年、安齊の黒い壺は海をも渡り、世界の人々
を魅了し続けている。
この黒肌、陶胎に粘土や漆等を塗り重ね、都度磨き、最後に低温
で焼き付けることで生まれている。その層は約十層。手と時間の
重なりが、時代国籍不明な肌感を醸し出しているのだろう。流体
のような滑り気、鈍光、そしてどうにも触れてみたくなる衝動…。
安齊は、生まれた時からの価値観や、心を動かした感覚を大切に
している、と話す。自身にとって善しと感じる選択を繰り返し、
自身にとって違和感のない線を探し続ける。自らに湧く源泉を汲
み続ける営みが、さざなみのように年齢国籍を超え、浸透してい
くのだろう。
今展では、机上にも飾れるほどの中小の壺がずらりと並ぶ予定で
ある。気に入りの小石を見つけるような気持ちで、足を運んで頂
けたら嬉しく思う。
作家在廊日 10月18日
閉廊日 10月21日
–
◉初日ご来店のお願い
下記日程にて、ご来店予約を募らせていただきます。
10月18日(土) ①11:00-12:00 ②12:00-13:00
*13:00以降はご予約不要です
メールにてご予約くださいませ。折り返しお返事させていただきます。
info@geshi.jp
*ご予約は10月14日(火)21:00までにお願い申し上げます。
*お名前と人数、携帯電話番号を明記くださいませ。
