寛白窯
岸野寛 陶磁
2022.4.9 (sat) – 4.25 (mon)

やきものとは何とも好いものだな、届いたばかりの品を手に取り、そう素直に思う。
数えれば、七回目となる寛白窯岸野寛陶展。器はすっかり我が家の食卓の顔となり、織部向附
は冷奴に、志野皿はおでんに、白釉大皿は天麩羅に、と幾つもの季節を重ねている。静かに鎮
座する焼締蹲壺は、庭の草木をどれほど愉しませてくれたことか。器を見れば食卓の景色を思
い出し、空の壺にも花を想うほど、生活の記憶と共に在る。
岸野は三重県伊賀市にて作陶。家屋の佇まい、床の設え、一日の暮らし方、全てがやきものに
現れ、やきものはまた生活の場へと還っていく。今展のために焼かれた壺や食器を手にし、言
いようの無い感慨を覚えたのは何故だろうか。焼物の歴史や人間の業、そのようなものは静か
に隣に置かれ、ただ、好きなこの仕事に精一杯の挑戦をし続けるのみ。そんな無垢で親しみ深
い存在が現れたように感じている。
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陶歴
1975年 水墨画家・岸野忠孝の四男としてうまれる
1994年 京都市銅駝美術工芸高等学校陶芸科卒業
伊賀土楽窯・福森雅武氏に師事
2004年 伊賀市丸柱に築窯
2015年 名古屋・松坂屋にて個展
東京・瀬津雅陶堂にて個展
2018年 京都・思文閣にて個展
梅田・阪急にて個展
2019年 日本橋・高島屋にて個展
2020年 横浜・高島屋にて兄弟展
2007年より夏至にて個展
美術画廊、古美術店を中心に個展を開催
内面に豊かな実在を宿す古陶に習い、織部、志野、焼締、粉引など現代の家庭に届く器を作陶
里山での暮らしの中、育つ器、を心に置き、日本の豊かな自然や食文化と焼きものを繋げている
作家在廊日 4月9日(土)
閉廊 火曜 4月6日(水)-8日(金) 27日(水)
